アパレル販売における接客について

もうすぐショッププレセール。皆さんも実際に店頭に立ち、お客様とコミュニケーションを取りながらプレセールを盛り上げていただきたいと思います。

接客経験者の方もおられるので接客のノウハウをご存じの方もいらっしゃると思いますが、接客経験の少ない方やアパレル販売はほとんどしたことないから分からないという方もいらっしゃるのではないでしょうか。

接客をするうえで、お客様へのお声かけはなかなかハードルが高いもの。

「おしゃれをすることは大好きだけど、接客はあまり得意ではない」

「ファッションに興味はあるけれど、お客様に関心が持てない」

「実は人見知りで、コミュニケーションをとるのが苦手」

「お客様にどのように声をかければいいかわからない」

こんな不安はないでしょうか。
この様な不安は接客経験者ならだれもが抱えており、誰しもが通る道です。

今回は、そんな不安が少しでも解消できるようにお客様へのアプローチについて知ってもらいたいと思います。

アパレル販売におけるアプローチとは?

お客様に商品を提案したり販売をする接客。
その接客の中でも、最初の要として重要なものがアプローチ、つまりお声かけです。
また、「よく売れる販売員はアプローチが上手い!」とも言われます。

アプローチにおいて重要なのは「お客様に興味や関心を持つ」ことです。
お客様に興味や関心が持てないと、お客様のご要望が分からないまま接客を進めてしまい、コミュニケーションが取れずに会話が続かないのです。
まずはお客様に興味を持つことから始めましょう。

接客においてアプローチの段階は2種類、
お客様との会話のはじまりとなる「ファーストアプローチ」と商品説明やコーディネート提案をする「セカンドアプローチ」があります。

それぞれのアプローチにおける目的とポイント、実際に使っているフレーズをご紹介します。


ファーストアプローチで第一印象が決まる

ファーストアプローチとは、お客様がご来店・入店されてから最初に行うお声かけを指し、第一印象を決める重要な場面です。
ファーストアプローチによって、お客様と近づくためのきっかけでもありその後の接客内容は大きく変わります。

目的①「お客様のタイプを見極める」

来店されるお客様にも買い物の仕方は人それぞれ。
ゆっくり店内の商品を見たいタイプ」、「店員からのアドバイスが欲しいタイプ」、「決まったアイテムを探しているタイプ」など様々です。
お客様に気持ちよく買い物していただくには、そのタイプによってお客様への接し方もできるだけ変える必要があります。
例えば、ゆっくり店内を見たい方であれば、ファーストアプローチを行った後はお客様からのご要望があるまでは、こちらから積極的に声掛けはしない方がいいかもしれません。

目的② 「お客様を気にかけていることを伝える」

お客様にお声かけをすることで、お客様がお店にご来店いただいたことに気づいているという意思表示ができます。また来店いただいたことに感謝していますという気持ちをお伝えできることにもなります。
軽く「合わせてみてくださいね」と一言かけるだけでお客様も販売員へ質問しやすくなります。

使えるフレーズ

・たたんでいる商品を見ているとき、気にかけているとき
どうぞ、お気軽に広げてみてください」

お客様心理としてきれいに陳列され、たたまれた商品は申し訳ないと気を使い、広げにくいと思われている方も多いものです。
“お好きなようにみてください”、“自由にみてください”という気持ちでお伝えします。

・ラックにかかっている商品を見ているとき、手に取っているとき

どうぞ、お気軽に鏡で合わせてみてください

丈感やシルエットなど、鏡で合わせることにより商品を実際に着用したイメージなどがしやすくなります。気になっている商品により興味が沸くチャンスです。
“お店の商品をたくさん見ていただきたい”、“当店で気に入る商品を見つけてください”という思いでお伝えします。

アウターなど、羽織りの商品などは鏡の前で「良ければ羽織ってみられませんか」とプラスでお伝えすることでその場でご試着に繋げる機会にもなります。

・お客様が店内の商品を手に持って回遊しているとき

宜しければ、試着室までご案内いたしますね

ポイントは断定的にならないこと。「ご案内します」と言い切らないことです。
あくまでもお客様に選択肢を選んでもらうことが重要です。

もう少し店内の商品を見てから試着したいというお客様もいらっしゃるので、
その場合は「なにかあればいつでもお声かけ下さい」と返します。

とりあえず気になるからキープしておきたいと持ち歩かれている場合もあるので、「一度、カウンターでお預かりいたしましょうか」などと一言添えると、お客様の手もふさがらず他の商品を自由に見ていただく事ができるので、より丁寧です。また別の商品を探しやすくなり、お客様の欲しい商品の選択肢を増やすことにもつながります。

気を付けたいのは、試着せず購入の意思があり、レジに向かおうとされている場合もあるので、そういう時に試着のご案内をすると余計な一言になるので注意しましょう。

セカンドアプローチは「ウォッチング」と「共感」が鍵

セカンドアプローチは基本的には、商品の説明やコーディネート提案です。
ファーストアプローチで興味を持たれた商品の購買意欲を高めるためのアプローチです。
最初の声掛けで素っ気なく反応がなくても、お客様の行動をみていると再びお声かけのチャンスが訪れます。
ここからはお客様求めている商品やニーズに合わせたお声かけが必要です。

ポイント① 「手元のウォッチング」

セカンドアプローチの重要なポイントは、お客様の手元を見る「ウォッチング」です。
お客様の手元を観察していると、気になられている商品が何なのかが分かります。また、商品の生地を触られている場合は素材を気にされていたり、タグを触られている場合はサイズやカラー、値札を見られていたら価格を気にされているなど、お客様のさまざまな気持ちを読み解くことができます。

ポイント②「お客様と距離を縮めるセリフは共感」

お客様が手にしていたり、視線を向けている商品は「この商品に興味がある」というサインです。「そちらの○○、色がきれいですよね」、「すごく肌ざわりいいですよね」など商品に共感することで商品をさらに魅力的に感じたり、試着をしてみようとアクションを起こすことにつながります。

セカンドアプローチのコツ

自分の発言と表情を一致させた会話を意識する

「メラビアンの法則」

メラビアンの法則とは、人と人とのコミュニケーションにおいて、言語情報が7%、聴覚情報が38%、視覚情報が55%のウェイトで影響を与えるという心理学上の法則の1つです。

つまり、言った言葉と表情が一致していないとどれだけ商品への魅力や共感、お褒めの言葉をお伝えしても、お客様には伝わりません。

アプローチをする際には、表情やしぐさも意識して行うとよりお客様からの印象も良くなり、会話も引き出せるようになります。

商品に合わせたワード例(共感)

・シャツ/落ち着いた色を見ているお客様に対して

「これからの時期はシャツがあると便利ですよね、そしてボトムスとのコーディネートを考えるとシャツも少し落ち着いた色の方が合わせやすいと思います」

・ワイドパンツを見ているお客様に対して

「今シーズンは特にゆったりめのパンツを多く取り揃えています。今日履かれている細身のパンツと比べると印象も変えることができると思うので、お客様にもぜひ試していただきたいです」

セカンドアプローチに重要なのは、お客様の事をウォッチングしそのお客様が求めているであろう言葉でお声かけをします。

ただ闇雲に早くアプローチしたり、オススメアイテムを提案するのではなくお客様一人ひとりに適したアプローチが大切です。焦らずよく見てからお伝えしに行くことがポイントです。

お客様との会話が弾む+1アプローチ 「お客様を褒める」

商品の説明、ご提案することはもちろんですが、目の前のお客様に喜んでいただけるにはとにかくそのお客様に「興味」をもつことです。個人に向けた会話、お客様自身の事に触れることでお客様との距離間もグッと縮まります。

よく利用するワード例

・(お子様連れのお客様に)お子様の話をする
例:「かわいいですね、おいくつなんですか?」

自分の子どもを大切にしてない親はいません。お子さまの話題を入れることで共通の話題なども増えます。

・お客様が大事にしているカバンや靴を褒める。
例「そのバッグ素敵ですね」
 「そのスニーカー○○の限定のアイテムですよね」

お客様が明らかに大事にされているものやこだわりのあるものは、身に着けていると分かるものです。大事にしているものやこだわりを持っているものに関心をもって話題を振るとお客様も嬉しいものです。

・(女性のお客様)ネイルを褒める
「お客様のネイル、お洒落ですね。季節感のあるカラーで素敵です。」

この褒めワードは女性同士の会話に限るかと思います。
男性スタッフが女性の細かいところまで触れるのは、警戒される場合があるので注意が必要です。

ムリに褒めるといやらしく感じるので、あくまで自分自身が心から感じたときに話してみるのがおすすめです。お客様との会話が続かないと感じたらぜひ取り入れてみてください。


お客様がお店に期待していること

楽しいからまたお店に行きたい

楽しいという気持ちは人を動かすパワーがあります。

買い物そのものが楽しくても、その行動を受け入れるショップや販売員に対して楽しい気持ちがなければ、同じショップに何度も足を運んではくれません。

今はスマホでオンライン購入ができる時代です。いつでもどこでも買い物ができてしまいます。オンライン購入は簡単に買い物ができますが、ワクワクする気持ちはワンクリックで終わってしまいます。

リアル店舗で「声かけされるのが面倒だからECで買う」といったデメリットが取り上げられがちですが、マンツーマンの接客はリアル店舗の強み。

楽しいから会うというのはショップでしか味わうことができません。お客様のワクワクした楽しい気持ちをありがたく思い対応しましょう。